感染性腸炎とは
感染性腸炎は、細菌やウイルス、寄生虫などの病原体が原因となる消化管の感染症です。主に小腸や大腸に炎症を引き起こし、一般的には「食中毒」として知られる症状が現れます。この病気は日常生活の中で突然発症し、主に不衛生な食べ物や水、感染者や動物との接触を通じて広がります。予防には、衛生管理を徹底することが大切です。
感染性腸炎の主な症状には、腹痛や下痢、吐き気、発熱などがあり、通常は数日から1週間ほどで回復します。しかし、脱水や電解質のバランスの乱れなど重大な合併症を招くことがあり、注意が必要です。
感染性腸炎はうつる?
感染性腸炎はうつります。細菌やウイルスの感染が原因の場合、周囲に感染が拡大する恐れがあります。
感染性腸炎の症状
感染性腸炎の代表的な症状は下痢です。水のように緩い便が続き、場合によっては血が混じることもあります。また、腹痛や腹部の不快感を覚えることが多く、強い痙攣を伴うケースもあります。さらに症状が進行すると、吐き気や嘔吐、発熱などが見られ、全身のだるさや食欲不振を引き起こすこともあります。
症状の現れ方は、感染源となる病原体の種類によって異なります。例えば、ノロウイルスやロタウイルスの感染では、症状が急激に発生するのが特徴です。一方で、細菌による感染では、発症までに数日かかることがあり、寄生虫によるものはさらに長い潜伏期間を経て症状が出ることもあります
脱水症状に注意
感染性腸炎では、下痢や嘔吐によって体内の水分が急速に失われ、脱水症状を引き起こすことがあります。特に乳幼児や高齢者は脱水の進行が早く、重症化すると命に関わることもあるため注意が必要です。めまいや口の渇き、尿の減少などの兆候が見られた場合は、早めに水分補給を行い、当院までご相談ください。
感染性腸炎の原因
感染性腸炎は、ウイルス、細菌、寄生虫といった病原体が体内に侵入し、腸の粘膜に炎症を引き起こすことで発症します。
ウイルス性腸炎の代表的な原因としては、ノロウイルスやロタウイルスが挙げられます。これらは感染者との接触や汚染された環境を介して広がり、特に集団生活を送る幼児や高齢者の間で流行しやすい傾向があります。
一方、細菌性腸炎は、サルモネラ菌や赤痢菌、大腸菌(E.coli)などが原因となることが多く、加熱不足の食品や汚染された水を摂取することで感染します。また、寄生虫による腸炎は、赤痢アメーバやジアルジアなどが主な原因で、特に温暖な気候や衛生環境の整っていない地域での発症リスクが高まります。
これらの病原体は、感染した人や動物との接触、不適切な食品の取り扱い、十分に加熱されていない飲食物の摂取、汚染された水の摂取などを通じて体内に入り込みます。特に、旅行先や外食時には衛生管理に注意し、手洗いや食材の加熱を徹底することが予防に繋がります。
感染性腸炎の検査・診断
診断の第一歩は、患者様の症状や生活状況を詳しく把握することです。問診を行い、発症のタイミング、最近の食生活の変化、旅行歴、周囲で同じような症状が出ている人がいるかなどをお伺いし、感染経路を探ります。
次に、触診で腹部の状態を確認し、痛みの部位や脱水の兆候がないかを調べます。検査が必要な場合、最も一般的なのは便検査です。これにより、ウイルス、細菌、寄生虫のいずれが原因となっているかを特定する手がかりを得ることができます。
また、血液検査を行うこともあり、炎症や脱水の程度を評価するのに役立ちます。さらに、特定の病原体を迅速に判別できる検査キットも活用し、ノロウイルスなどは短時間で結果を得ることが可能です。こうした多角的な検査を組み合わせることで、より正確な診断に繋げていきます。
感染性腸炎の治療
治療の基本は、原因となる病原体や患者様の体調に応じた適切な対処を行うことです。特に、脱水を防ぐことが重要です。
症状が軽度の場合
症状が比較的軽い場合は、自宅で安静にしながら十分な水分補給を行うことが基本です。特に、脱水を防ぐために経口補水液を活用するのが効果的です。
ウイルス性腸炎では、特効薬がないため、主に対症療法を行います。体が自然に回復するのを助けるため、消化に優しい食事を摂り、体力を回復させることが大切です。
一方で、細菌や寄生虫が原因と判明した場合は、医師の判断のもと、抗生物質や抗寄生虫薬を処方します。
症状が重度・高齢者・基礎疾患を持つ患者様の場合
症状が重い場合や、高齢者、持病を持つ方では、脱水や合併症のリスクが高いため、入院治療が必要になることがあります。
入院中は、点滴で水分や電解質を補いながら、必要に応じて抗生物質を静脈内投与することもあります。また、患者様の状態に応じて、症状を和らげる治療が追加されることもあります。
特に、免疫力が低下している方は、感染が長引いたり重症化しやすいため、医師の指示に従い、適切な治療を受けることが大切です。
感染性腸炎の時の食事
感染性腸炎の回復には、栄養を適切に補給し、胃腸への負担を減らすことが大切です。消化しやすく、体に優しい食事を心がけましょう。例えば、スープやおかゆ、バナナ、すりつぶしたリンゴなどがお勧めです。一方、香辛料の効いた料理、脂肪分が多い食事は控えましょう。
感染性腸炎は
何日で治りますか?
回復までの期間は、原因となる病原体や患者様の体調、治療の効果によって異なります。
ウイルス性腸炎の場合(ノロウイルスやロタウイルスによる)
症状は通常2~3日で軽減し始め、1週間ほどで回復します。ただし、免疫力の低い方や高齢者では、回復までにさらに時間がかかることもあります。また、症状が治まった後も1ヶ月ほど便中にウイルスが残るため、衛生管理に注意が必要です。
細菌性腸炎の場合(サルモネラ、カンピロバクター、病原性大腸菌による)
抗生物質を使用すると、5~7日程度で症状が改善することが多いですが、感染の種類や重症度によっては回復が長引くこともあります。
寄生虫性腸炎の場合(ジアルジアによる)
抗寄生虫薬の服用により、1~2週間で症状が落ち着くことが一般的ですが、完全に寄生虫が排除されるまでには数週間かかることがあります。
いずれの場合も、水分と栄養をしっかり補給し、十分な休息を取ることが回復を早めるポイントです。症状が落ち着いても感染力が残る場合があるため、手洗いや食品の取り扱いなどの衛生管理を徹底することが大切です。