- 過敏性腸症候群とは?原因は?
- 過敏性腸症候群の症状をチェック
- 過敏性腸症候群の種類
- 過敏性腸症候群の検査
- 過敏性腸症候群の治し方
- 過敏性腸症候群になった時の食べ物(低FODMAP食)
- 過敏性腸症候群を落ち着かせる方法は?
過敏性腸症候群とは?
原因は?
過敏性腸症候群は、腹痛や腹部の不快感に伴って、便秘や下痢などの便通異常を繰り返す疾患です。命に関わる重篤な病気ではないものの、トイレのない環境に長時間いられないなど、生活の質(QOL)を大幅に低下させることがあります。
現在のところ、発症の原因は明確になっていませんが、ストレスが関与していると考えられています。ストレスを受けると、脳下垂体からストレスホルモンが分泌され、それが腸の運動に影響を与えることで症状が起こるとされています。また、大腸の運動異常や生活習慣の乱れなどの関与も指摘されています。
過敏性腸症候群の
症状をチェック
- 腹痛や腹部の不快感が数週間から数ヶ月以上続く
- 数ヶ月以上にわたって便秘や下痢などの便通異常が続く
- 腹痛は排便後に一時的に解消する
- 排便の回数が日々一定しない
- 形状が崩れた便が見られる
- 排便後も残便感を覚える
- ストレスで症状が悪化する
上記の症状が起きている場合、過敏性腸症候群の可能性があります。
過敏性腸症候群の種類
過敏性腸症候群は、症状に応じて、「下痢型」「便秘型」「混合型」の3つのタイプに分けられます。
下痢型
突然の激しい腹痛とともに、水のような便が1日3回以上出るタイプです。急な発症が多いため、外出時に強い不安を感じ、それがストレスとなり症状を悪化させることもあります。特に若い男性に起こりやすいです。
便秘型
腸の痙攣により便の流れが滞るタイプです。排便時に腹痛を伴うことが多く、強くいきまないと出にくい、排便できたとしてもウサギのような小さなコロコロした便が出る、残便感が続くといった症状が特徴です。特に女性に起こりやすい傾向があります。
混合型
便秘と下痢を交互に繰り返すタイプで、どちらの症状も激しい腹痛を伴うのが特徴です。
過敏性腸症候群の検査
過敏性腸症候群の症状は、他の消化器疾患でも見られるため、正確な診断には慎重な検査が必要です。血液検査や超音波検査、大腸カメラ検査などを行い、大腸がんや潰瘍性大腸炎といった疾患を除外することで、過敏性腸症候群と判断します。
当院で行う大腸カメラ検査には、鎮静剤や鎮痛剤を使用しています。ウトウト眠ったような状態で検査を受けられるため、苦痛を最小限に抑えられます。症状にお悩みの方は、お気軽に当院までご相談ください。
過敏性腸症候群の治し方
過敏性腸症候群の治療では、生活習慣の改善と薬物療法を行います。
生活習慣の改善
最初に問診を行い、現在の生活習慣についてお聞きします。ストレスや疲労、睡眠不足が認められる場合、その改善に向けて適切なアドバイスを行います。
飲食
過敏性腸症候群を改善するためには、食生活や水分摂取の見直しが大切です。まず、アルコールや香辛料が多い食事は腸に負担をかけ、症状を悪化させることがあるため、控えめにしましょう。一方で、食物繊維が豊富な海藻類やキノコ、バナナなどを積極的に取り入れると良いでしょう。
便秘型の方は、乳酸菌を含む食品を取り入れて腸内環境を整えることが推奨されます。また、下痢型の方は脱水のリスクがあるため、こまめに水分を摂取し、胃に優しい常温や温かい飲み物を選ぶよう心がけましょう。
喫煙
喫煙習慣がある方は、この機会に禁煙に取り組みましょう。
運動
ストレスを発散するためには、適度な運動を習慣的に行うことがお勧めです。ハードなトレーニングは必要なく、軽いウォーキングから取り組んでみましょう。
薬物療法
生活習慣の改善に取り組んでも十分な効果が得られない場合、薬物療法も併用します。過敏性腸症候群のタイプや症状に応じた適切なお薬を使用します。
過敏性腸症候群になった時の
食べ物(低FODMAP食)
過敏性腸症候群の症状は、食事内容によって悪化することが近年明らかになっています。その主な要因となるのが「FODMAP」と呼ばれる糖質群です。FODMAPは、小腸で吸収が難しく、大腸で発酵しやすい糖質のことを指し、発酵性・オリゴ糖、二糖類、単糖類、糖アルコールが含まれます。これらの糖質が豊富な「高FODMAP食品」を多く摂った場合、腹痛、便秘、下痢といった過敏性腸症候群の症状が悪化しやすくなります。
そのため、過敏性腸症候群をお持ちの方は、食生活を見直すことが非常に大切です。まずは、高FODMAP食品の摂取量を減らし、その際に食事日記をつけてみましょう。食事内容とともに、腹部の症状の変化を記録することで、どの食材が自分に合っているのか、また症状にどう影響を与えているのかを確認することができます。
もし、高FODMAP食品を避けても症状が続く場合は、食事日記を再確認してみてください。意図的に避けているはずの食品を摂ってしまっていないか、しっかりチェックすることが重要です。それでも症状に変化がない場合は、FODMAP以外が原因となっている可能性があります。
低FODMAP食
- 米、玄米、十割蕎麦、フォー、ビーフン
- 牛肉、豚肉、鶏肉、卵、魚
- ホウレンソウ、カボチャ、トマト、ダイコン、ジャガイモ
- 木綿豆腐
- マーガリン、バター
- メープルシロップ
- 紅茶、緑茶
高FODMAP食
- パスタ、うどん、ラーメン、パン
- ソーセージ
- アスパラガス、ニラ、長ネギ、たまねぎ、サツマイモ
- 納豆、大豆、豆乳
- ヨーグルト、牛乳
- はちみつ
- アイスクリーム、チョコレート
- ウーロン茶
過敏性腸症候群を
落ち着かせる方法は?
過敏性腸症候群(IBS)の症状を軽減するためには、以下の方法が効果的です。
- 食生活を見直し、バランスの良い食事を心がける
- 深呼吸や瞑想などのリラクゼーション法を取り入れる
- 腹部を温めたり、軽くマッサージをしてリラックスさせる
- 軽い運動を習慣化する
- 定期的に水分を補給する
- 十分な睡眠を確保し、身体を休ませる