- 虚血性大腸炎とは何?
- 虚血性大腸炎はほっておくとどうなる?
- 虚血性大腸炎の原因
- 虚血性大腸炎の症状
- 虚血性大腸炎と類似の症状がある疾患
- 虚血性大腸炎の検査
- 虚血性大腸炎の治療
- 虚血性大腸炎は完治する?
虚血性大腸炎とは何?
虚血性大腸炎は、大腸の血管が一時的に閉塞することにより、大腸壁が血流不足になり、炎症や潰瘍が発生する疾患です。特に左側の下行結腸で血流が低下しやすく、腹痛、下痢、血便などの症状を引き起こします。
虚血性大腸炎は
ほっておくとどうなる?
虚血性大腸炎を放置すると、炎症が進行して潰瘍ができ、さらに悪化すると腸管狭窄や腸閉塞を引き起こすことがあります。
緊急手術が必要になる場合もあり、軽視できない病気です。
虚血性大腸炎の原因
虚血性大腸炎の主な原因としては、動脈硬化による血流の低下や、便秘によって腸内圧が高まることなどが挙げられます。さらに、ストレスや脂肪分が多い食生活、運動不足などの不規則な生活習慣も、発症を引き起こす要因となると考えられています。
虚血性大腸炎の症状
虚血性大腸炎では、主に以下のような症状が起こります。
- 腹痛
- 下痢
- 血便
また、進行して腸閉塞が起こると、膨満感や嘔吐、腸管壊死が発生する可能性があります。
虚血性大腸炎と類似の
症状がある疾患
虚血性大腸炎では、腹痛、下痢、血便が起こります。これらの症状は、別の疾患でも起こるため、鑑別診断が欠かせません。同様の症状を引き起こす疾患には以下のようなものがあります。
大腸がん
大腸がんも腹痛や下痢、血便など、虚血性大腸炎と同様の症状を伴うことがあります。症状だけで区別するのは非常に難しいです。そのため、鑑別診断として大腸カメラ検査を実施します。
クローン病
クローン病は、口から肛門に至る消化管全域に炎症が発生し、潰瘍が形成される疾患です。特に大腸の粘膜に炎症や潰瘍が生じることで、腹痛や下痢、血便など、虚血性大腸炎と同様の症状が起こることがあります。
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は、大腸粘膜に慢性的な炎症が発生し、びらんや潰瘍が形成される疾患です。虚血性大腸炎と共通する点は、「大腸粘膜に炎症が発生する」という部分で、いずれも腹痛や下痢、血便などの症状を伴います。しかし、潰瘍性大腸炎は虚血性大腸炎よりも症状が長期間にわたることが一般的です。
大腸憩室炎
大腸憩室炎は、大腸壁に「憩室」という窪みが形成され、その部分が感染して炎症が発生する疾患です。この疾患では、腹痛や下痢、血便といった虚血性大腸炎と似た症状を引き起こすことがあります。そのため、症状のみで区別するのは難しく、鑑別診断として大腸カメラ検査を行います。
虚血性大腸炎の検査
虚血性大腸炎の診断は、主に血液検査や腹部超音波検査を通じて行われます。場合によっては、大腸カメラ検査を実施することもありますが、虚血性大腸炎では腸に内視鏡スコープを挿入するのが難しいこともあります。それでも、症状の裏に大腸がんなどの深刻な疾患が潜んでいることがあるため、大腸カメラ検査は可能な限り行うべきです。
当院では、虚血性大腸炎の発症パターンを確認します。例えば、突然腹痛が起こり、その後、排便すると普通便が出て、次に鮮血の血便が続くような一連の流れが見られる場合、虚血性大腸炎の可能性が高いです。大腸カメラ検査を行い、「区域性の病変」が確認されれば、診断が確定します。この病変は、大腸の一部に限って粘膜の発赤、浮腫、びらん、潰瘍などが確認され、その部分以外の粘膜は正常という特徴があります。
虚血性大腸炎の治療
虚血性大腸炎は、一般的に症状が数日以内に改善するため、安静にして自宅で療養し、必要に応じて抗生物質の投与を行いながら経過を観察します。大多数のケースでは、虚血性大腸炎は一過性のものであり、短期間で治療が完了します。
しかし、病変部が狭くなって腸の動きが障害される狭窄型や、腸が壊死している壊死型の場合は、治療に手術が必要になることがあります。これらの重篤な状態では、早期の対応が重要です。
治療期間の目安
治療期間は患者様の状態によって違いますが、軽症のケースでは、消化に優しい食事を摂ることで自然に回復することが一般的です。なお、症状が重篤なケースでは入院が必要となることがあります。当院では熟練の医師が大腸カメラ検査を行っており、迅速に虚血性大腸炎の診断が可能です。お悩みの症状がある場合は、早めに当院までご相談ください。
虚血性大腸炎は完治する?
虚血性大腸炎は、ほとんどの場合、症状は一時的であり、医師の指示にしたがって安静とケアを行うことで、通常2~4日で症状が改善します。軽症の場合は、自宅で消化に優しい食事を摂りながら療養できますが、重症の場合は入院が必要となり、絶飲食と点滴による水分・栄養補給が行われます。治療の主な目的は症状を和らげ、自然治癒を待つことです。