手足が冷える(冷え性)
体温自体は正常でも、血液の循環が十分に行き届かず、手足の指先や足の裏など体の末端が冷たく感じる状態を末端冷え性と言います。特に、痩せ型の女性に多く見られ、靴下や手袋などの冷え対策、運動を行ってもなかなか温まらないのが特徴です。
手足が冷える原因は
閉塞性動脈硬化症?
閉塞性動脈硬化症
足の血管に動脈硬化が起こり、血流が妨げられる病気を閉塞性動脈硬化症と言います。血管が硬くなり柔軟性を失うことで、血液がスムーズに流れにくくなり、様々な症状が引き起こされます。特に足は、運動時に安静時の10倍近い血流を必要とするため、血流が不足すると乳酸などの疲労物質が溜まり、痛みの原因になります。階段や坂道で足が痛む場合には、この病気が疑われます。また、足の動脈に動脈硬化があると、脳や心臓の血管にも同様の変化が起きている可能性が高く、放置すると脳梗塞や心筋梗塞などのリスクも高まります。気になる症状がある方は、早めに当院までご相談ください。
その他の原因
血液の循環の悪化
体の熱は血液によって全身へと運ばれます。血液の流れが滞ると、手足などの末端まで十分に熱が届かなくなるため、冷え性を引き起こす原因となります。
動脈硬化
加齢や喫煙、高血圧、糖尿病、脂質異常症などが原因で動脈硬化が進むと、血管が硬くなって内腔が狭まり、血流が悪化します。特に手足の末端には細かく分かれた血管が多く、細い血管が詰まると血液循環がさらに滞り、冷えなどの症状が現れます。
心臓病
心臓は全身に血液を送るポンプの役割を担っていますが、心筋症や弁膜症などで機能が低下すると、血液の循環が悪くなり、手足の先まで十分に血流が届かなくなります。その結果、末端の冷えが生じやすくなります。
「ちょっと動くと息切れする」「足がむくみやすい」といった場合、心臓に異常が隠れている可能性もあるため、一度当院までご相談ください。
リウマチ、膠原病
リウマチや膠原病などの自己免疫疾患では、細い血管に炎症が起こり、手足の末端まで血液が届きにくくなります。その結果、血流が悪化し、手足の冷えなどの症状が出ます。
特に、緊張時や寒い場所で指先が青白くなる「レイノー現象」があれば、膠原病の可能性があります。
女性ホルモンによる影響
月経、出産、閉経といったライフイベントにより、女性ホルモンのバランスが崩れると、自律神経が失調して血流が滞り、手足の冷えなどの症状が現れやすくなります。
自律神経の乱れ
私たちの体は、自律神経によって体温を一定に保つ仕組みが備わっています。寒いときには熱を生み出したり、手足の血管を収縮させて中心部への血流を優先させたりと、体内の温度調整が行われます。
しかし、自律神経のバランスが崩れると、寒くても十分に熱を作れなかったり、気温が上がっても血管がうまく拡張せず、血流が滞ることがあります。こうした状態が続くと、末端冷え性になりやすくなります。
基礎代謝の低下
基礎代謝は、安静にしていても体が消費するエネルギーのことで、そのうち最も多くを占めるのが筋肉による熱の産生です。筋肉は全体の基礎代謝の約38%を担っており、これに対し肝臓は12%、胃腸や腎臓はそれぞれ8%前後とされています。
このように筋肉の影響が大きいため、筋肉量が減少すると体内で作られる熱も少なくなり、冷えを感じやすくなります。特に女性は体重に対する筋肉量が男性よりも少ない傾向があり(女性約36%、男性約40%)、冷え性に悩まされる方が多いです。
手足の冷え(冷え性)の
改善・できること
衣類の工夫
女性の服装はストッキングやスカートなど、保温性が十分でないものが多く、薄着の傾向も重なって冷えやすくなると言われています。指先やつま先など体の末端が冷える場合、カイロや靴下の重ね履きなどで温めても、交感神経の緊張がうまく緩まず、血管が広がりにくいため、なかなか冷えが改善されないこともあります。
冷え性対策としては、胸・腹部・背中・腕といった体幹部をしっかりと覆える、吸湿性と保温性に優れた下着を選ぶのがお勧めです。体の中心部を温めることで熱の放散が促され、交感神経の緊張が和らぎ、手足への血流が改善されて冷えが緩和します。
入浴
体をしっかり温めるためには入浴が効果的です。シャワーや半身浴だけでは体の深部まで十分に温まらないことが多いため、全身浴をお勧めします。
冷え性の方は、血管が収縮して血流が滞っていることが多いため、40℃以下のぬるめのお湯に10〜30分ほどゆっくり浸かりましょう。ぬるま湯に浸かることで副交感神経が優位になり、血管が拡張しやすくなって、全身の血流が改善されます。
運動・筋力トレーニング
体で作られる熱の約40%は筋肉から生まれています。そのため、トレーニングにより筋肉量が増えると体内で生成される熱も増え、冷えにくい体づくりに繋がります。
さらに、手足などに張り巡らされている毛細血管は、加齢とともに数や機能が徐々に低下していきますが、運動を継続することで毛細血管の新生も促され、血流の改善にも繋がります。
身体を温める食事
常温以上のものを摂ることで、体の内側からじんわりと温まり、冷えの予防に繋がります。それでも冷えが気になる場合は、体温より高めの温かいものを取り入れるのがお勧めです。
漢方薬
漢方薬は、体の機能を整えながら自然な回復力を引き出す治療法です。熱を生み出す力が弱まっているタイプの冷え性に対しては役立つとされています。
手足の冷え(冷え性)は
ご相談ください
手足の冷えは、単なる体質だけでなく、閉塞性動脈硬化症や様々な疾患、健康状態が関わっていることがあります。冷えが続くときは、浜松市の「あいざわ循環器内科・内視鏡・肛門クリニック」までお気軽にご相談ください。